セミリタイア族には おそらく通勤というものがない場合が 多いんじゃないだろうか
通勤というのはたいていは その日のタイムスケジュールの初めのほうからある
寝坊したり 寝ぐせが直らなかったり 出がけに家族と喧嘩したり 電車が遅れたりして
とにかく いつもどおりでないと なんとなく その日の 調子が狂うので
通勤時間というのは 内から外 つまり私から公への 大事なトンネルなんだろう
朝プライベートな場所からオフィシャルなところに行き
日が暮れたら そこから また プライベートな場所に帰る
通勤時間のトンネルのなかで それぞれの鎧や戦闘服を着たり脱いだりして
皆 スイッチを 切り替えているんだろうなと 最近 思ったりする
セミリタイアして 朝のあわただしさが 嘘のように なくなり
したがって 出かける予定がないとダラダラ うだうだ
大した用もしないうちに 日が暮れてしまったりする
始業というのは 現役時代には 枷のような ものにしか思えなかったのに
いざ その枷が外されてみると 自由の喜びというより
大海に浮かぶ小舟になったような 心細ささえ感じてしまう
朝は ゆっくり起床して 豆を挽き コーヒーを淹れ トーストと卵を焼き
新聞に すみずみまで目を通し テレビをつけると
ニュースと天気が終わり 朝ドラの音楽が 流れて
短く編集された ドラマが 始まる
今やっているのは ひよっこ というタイトルの
昭和のオリンピックの時代に
茨城から東京へ 集団就職で出てきた 若い女主人公のはなし
まだ子供だった自分も リアルタイムで暮らしていた
高度成長 まっただ中の 東京のストーリーなので
けっこう なつかしい場面が あったりして
毎日 欠かさず 見るようになっている
つい このあいだまでは 毎朝が あわただしくて
まず見ることなどなかった 朝のドラマだったが
今では 毎日の ルーテインの始めに位置する
15分間の朝ドラを 見終わると
朝食と新聞が片づけられて
身支度をして 家事がスタート
掃除 洗濯 買い物 食事のしたく
役所 病院 銀行 などなど
現役選手には 通勤時間が 始業への 通過トンネルなら
セミリタイヤ―にとっては さしずめ 朝ドラが
毎日の ペースメーカー なのかもしれない
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